多重知能理論による強み分析方法

この記事では子育てに多重知能理論を活かす方法について記載しています。

多重知能理論とはざっくり言うと、

ポイント

  1. 人にはそれぞれ得意なことがある
  2. その得意分野は8つに分けて考えることができる

という理論です。

多重知能理論を踏まえ、どのように子供の長所見つけ伸ばしていくかを考えていきましょう。

多重知能理論の8つの分類

多重知能理論では

  • ヒトは誰しも得意分野があり、その分野において潜在能力・知能を持っている。
  • 人によっては2つ以上の分野において潜在能力を有している可能性がある。

とされています。

以下が多重知能理論の8つの分野です。

多重知能理論の8つの分類

  1. 言語的知能 話しことば・書きことばへの感受性、言語学習・運用能力など
    (作家や演説家、弁護士など)
  2. 論理数学的知能 原因、結果を論理的に分析したり、数学的な操作をしたり、問題を科学的に究明する能力
    (数学者や科学者)
  3. 音楽的知能 リズムや音程・和音・音色の識別、音楽演奏や作曲・鑑賞のスキル
    (作曲家や演奏家)
  4. 身体運動的知能 体全体や身体部位を問題解決や創造のために使う能力
    (ダンサーや俳優、スポーツ選手、工芸家)
  5. 空間的知能 空間のパターンを認識して操作する能力
    (パイロットや画家、彫刻家、建築家、棋士)
  6. 対人的知能 他人の意図や動機・欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力
    (外交販売員や教師、政治的指導者)
  7. 内省的知能 自分自身を理解して、自己の作業モデルを用いて自分の生活を統制する能力
    (精神分析家、宗教的指導者)
  8. 博物的知能 動植物、鉱物や人工物の種類を分類・識別する能力
    (生物学者や環境・生物保護活動家)

多重知能理論をふまえた子育て:育て方次第でどの能力も伸ばせる

多重知能理論の重要な考え方として、知性や能力は初めから決まっているものではなく、育てる環境が大切であるということです。

つまり、天才とか生まれつきという考え方ではなく、興味づけたい分野を伸ばしていけば誰でも一流として通用する可能性があるって考え方ですね。

潜在能力や知性は、人生における様々な環境の中で成長していきます。

8つの分野はバランス良く伸ばす事も出来るし、得意な分野のみを尖らせて発達させる事も出来ます。

もう1つ重要なのが、8つの分野はそれぞれが関係し合いながら本人の能力を形作っているということです。

ポイント

例えば、

  • 世界中の人々から人気のシンガーソングライター
  •  音楽センスの他に、人の気持ちを感じ取ることのできる対人能力も必要です。
  • 一流の漫画家なら
  •  絵の上手さやコマ割りの構図センスの空間的知能の他に、スケジュール通りに原稿を必ず書き終えることのできる内省的知能も必要です。

才能の見つけ方

自身や、子供がどんな能力に秀でているのかを見極める参考として、以下のような事を注意深く観察すると良いでしょう。

普段からとる頻度の高い行動

子供が普段から口ずさむ歌の音程が正しい

本を読むのが好きで内容をすぐ覚えられる

容易に達成できる事

パズルを完成させるのが早い

相手の言いたいことが最後まで聞かなくても当たっていることが多い

他人と比較して上手くできる事

足が早い、バランス感覚がいい

時間や約束をしっかりと守れる

高い集中力を発揮できる事

何時間も絵を描く

模型作りをすると周りの音が気にならなくなる

これらに当てはまることは多重知能理論において秀でた能力として分類できる可能性があります。

人は今まで育ってきた環境によって鍛錬してきたことや経験してきた内容が異なります。それらの影響が8つの知能のバランスが人それぞれ異なる結果として繋がるのです。

多重知能理論の診断テストが受けられる

多重知能理論の能力を測定するために用意された簡単な診断テストがあります。英語版のテストですが、以下に日本語訳を記載しておきますので興味のある方はやってみると良いでしょう。

http://www.literacynet.org/mi/assessment/findyourstrengths.html

別ウィンドウで開きます。

 

英語版・『多重知能理論』診断 訳

1. 語彙力が豊富なほうだ

2. 数字や数学記号を使うことはたやすい

3. 音楽は日常生活に欠かせないものである

4. 外出時、自分と自宅の位置関係をいつも把握している

5. スポーツが得意だと思っている

6. どの歳のひとにも好かれているように感じる

7. 他人の欠点が自分自身にもあるか、よく考える

(ひとの振りみてわが振り直すか、直さないか)

8. 動物や植物は自分にとって重要なものだ

9. 新しい単語を身につけるのが好きで、得意だ

10. 物事の関係性や、発見したものを論理的に説明するほうだ

11. クラシックから現代音楽まで、さまざまな音楽に興味をもっている

12. 方向音痴ではなく、地図上で自分がどこにいるのか把握できる

13. すこぶる体調がよく感じる

14. どんなひとと一緒にいても苦にならない

15. 自分が他人に与える影響をいつも考えている

16. ペットが好きだ。あるいは、ペットを飼いたい

17. 読書が好きで、また得意だ

18. 身の回りの数学的な割合がよく目につく

19. リズム感には自信がある

20. どの方角に行けばその場所にたどり着けるか、簡単に分かる

21. バランス感覚や目と手の感覚のずれを修正することがたやすく、球技が得意だ

22. 分け隔てなく(偏見なく)、誰とでも接することができる

23. 自分の行動に責任をもち、また、自分が何者であるかが分かる

24. 自然について学ぶことが好きだ

25. 難しい講義を聞くのが楽しい

26. 数学はいつでも好きな授業だった

27. 若い時から音楽に携わっていて、今もつづけている

28. 自分が見ているものを、そのまま描くことができる

29. 速い運動にも、身体能力で対応できる

30. 新しい環境や、一風変わった状況に置かれることを楽しめる

31. 細かいことにこだわって、無駄に時間を使おうとはしない

32. 自宅にある植物の世話を楽しんでいる。

33. 日記をつけるのが好きだ

34. 数学の問題を考えたり、統計をしたりするのが好きだ

35. 楽器を弾いたり、歌をうたうのが得意だ

36. 絵を描くことでほかの人を喜ばせることができる

37. アウトドアが好きで、季節に応じてさまざまな野外活動をする

38. 他人が物事をうまくやったときに、褒めるのが好きだ

39. 自分の所属するコミュニティーや地域、または世界で起こっている問題をよく考え、それについて自分が何をできるか検討している

40. 釣りや昆虫採集が好きだ

41. 詩を読むのが好きで、ときどき自分で書いてみる

42. 数学的な考え方でまわりのものを理解している

43. ある曲のメロディーについて尋ねられたら、すぐにそれを思い出すことができる

44. あるものの色や形や影を、容易に描き再現することができる

45. 個人やグループで競い合うことが楽しい

46. 他人の嫌悪や意図を、すぐに察することができる

47. いつも自分自身に正直だ

48. 自然公園などでハイキングをするのを楽しんでいる

49. 話すことが好きで、自分が見たり聞いたりしたものを他人によく話す

50. パズルをするのが好きだ

51. 音楽の才能には自信がある

52. 立体的にものを把握することが得意で、また、立体的なものをつくるのも好きだ(彫刻などの作品)

53. 動き回るのが好きだ

54. 知らない人と一緒にいても安心できる

55. 一人でいるのが好きで、自分自身や人生のことについてよく考える

56. 動物園にいくのが好きだ

さいごに

多重知能理論はIQのような単一の指標とは異なりそれぞれの子供が持つ長所を導き出すものです。そして、長所は子供によって異なりますが誰しもが必ず持っているものです。

こちらに高い集中力を発揮できる子供に育てる方法を書いていますのであわせて読んでみてください。

もう少し細かく多重知能理論を語る

興味のある方向けにもう少し細かく多重知能理論の考え方を記載しておきます。

この理論の中核にあるのは、「知能は単一ではなく、複数ある」「人間は誰しも複数(現在は8)の知能を持っている。長所やプロフィールが個人によって違うように、人によってある知能が強かったり、ある知能が弱かったりする」という考え方です。

人間の知能についての研究はまだ完成されているわけではありませんが、このMI理論は現在、世界各国の教育現場やビジネスの世界で取り入れられています。

ー+ーーーーーーーーーーーー+ー

多重知能理論は、1983年にハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナーがこの理論を提唱しました。

もともと、人間の「知能」を測定しようと言う試みはありました。その多くは知能を「一つの指標(たとえばIQ)」で測ろうとしていました

一方で「一つの指標」だけで人間の知能が測れるのか、と言う疑問はつねにありました。

さまざまな議論を経て生まれたのが、ハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏による「多重知能(Multiple Intelligences=以下MI)の理論なのです。

彼は、紙と鉛筆だけで測るテスト知能だけではなく、それ以外の知能にも目を向けるべきだと主張しています。
「人は皆それぞれ一組のMultiple
Intelligences(多重知性)を持っており、少なくとも8-9つの知的活動の特定の分野で、才能を大いに伸ばすことが出来
る。(1983)」その想いから、intelligenceに複数形のsをつけています。
インテリジェンス(知性)とはある文化的背景において活性化され、問題を解いたり、その文化において価値があるとさ
れるプロダクトを作ることができる、ある種の方法で情報を処理する生物学的、心理学的潜在能力だとガードナー(1983)は述べています。たとえば、芸術や体育に関係する能力も「知能」として、子どものすべての才能を包括的に捉えることが意図されています。「音楽的知能は音楽家だけに必要」というふうに知能と職業が一対一に対応しているわ
けではありません。
知能検査や学校の学力テストで測れるのは、せいぜい言語的知能や論理数学的知能くらいに限定されるとガードナー
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